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つくば叡智が集結!新薬開発プロジェクト

産業技術総合研究所・フェロー
つくばライフサイエンス推進協議会 会長 浅島誠さん

(2013年12月9日にラヂオつくばで放送した内容をもとにした記事です)

浅島先生の呼びかけで平成24年2月に発足した「つくばライフサイエンス推進協議会」は、つくば地区に所在する主な企業・学術研究機関が18機関参画し、2ヶ月に1回「ライフサイエンス推進協議会」を開催し、活発な情報交換が行われています。

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“研究というのは、知的冒険でチャレンジ”
世界最大級のつくばのバイオリソースを世界へ発信くり

Q浅島先生がこのような協議会をつくばに作ろうと思われた理由を教えていただけますか。

浅島先生

つくばには筑波大学を含めて18の国立研究所があります。そういう国立研究所が今までは縦割りで横の連絡がなかったわけです。そこに50年間蓄積した知財、世界最大級のバイオリソースをなんとかして世界に発信していきたい、という思いで試みました。

Qつくば地区にある研究機関や企業に共通の課題とか問題点というのは例えばどんなことが挙げられますか?

浅島先生

例えば企業は自分たちで自分たちの製品だけを作ってしまいます。大学は大学で、教育と研究が中心ですので大学の中で研いでいる。我々の産業技術総合研究所というのは、もの作りと社会への技術を移転するところがありまして、それぞれが分業しているわけです。それを見たときに、それぞれの機関でもって一つのクローズドしたシステムを作っていて、各機関をつなげることによって課題や、一緒に問題を解決していくという今までできなかったことが起こると思います。

Q素人的に考えると企業とか研究機関というのは競争関係にあったりはしないのかなと思いますが、いかがでしょうか?

浅島先生

実は双方関係です。大学や産総研あたりだとシーズを作っていくわけです。つまり、基礎的なところから開発までやります。一方で企業は製品になってなんぼなんです。そうすると、ちょうど双方的にあるわけで、一気通貫できるわけです。

Q推進協議会の中にある「つくば生物医学資源コンソーシアム」から創出された創薬プロジェクトが、この度特区の新規プロジェクトとして認定されました。新規プロジェクトの内容について、簡単にご説明いただけますか。

浅島先生

大きく分けて二つの柱があります。一つは疾患制御の事業化で、筑波大学の大河内先生が代表になっています。もう一つは、食薬品やサプリメントというような、ヘルスケア食品で事業化ということで、こちらは筑波大学の磯田先生が中心となっています。このような、大きな二つの柱の中で、さらにその中のがん治療や流行性疾患(インフルエンザ)の問題や、細胞治療、再生治療の問題について新しいアプローチをしていこうかと思っています。そしてその中でもさらに10あまりのテーマがあります。

Qつくばではこれまでもいろんな成果はだしてきたと思うんですけど、なぜ“ライフサイエンスのつくば”というような形に成果が見えてこなかったのはどうしてでしょうか?

浅島先生

今までも努力はしてきたし何度か試みてきたと思います。だけどどうしても各組織のしばりのようなものがありうまくいきませんでした。また、問題や課題を外に出して一体どれだけのことができるのか、という疑問に対してそれに割く時間やエネルギーの心配をしていたんです。なかなかこういうような推進協議会でもって自主的にテーマを決めて、みんなでプロジェクトを推進するというようなところまでいかなかった。

Q先生が研究者になろうと思ったきっかけはなんですか?

浅島先生

生物自体いろいろなおもしろい現象がありますが、私は卵がどうして親になるかというようなその発生の仕組みを知りたかった。形づくりの仕組みや、心臓やいろいろな臓器がどうしてできるかという仕組みを知りたかった。それが私の一番の原点です。

Q14年間苦労されて一つの大きな成果を見つけられたということですが、その間を支えていた情熱というのは何だったんでしょうか?

浅島先生

生き物というのは本当に我々の手本みたいなもので、調べれば調べるほど深い。失敗の連続でそんなにうまくいくわけではないですが、こちらが努力すれば次のステップにいけるわけです。自分としての満足感というのは、自分でやったことによって手ごたえというのはあるんです。研究というのは、知的冒険でチャレンジなんです。新しいものを見つけようとしているチャレンジはちょうど登山家が山に登ろうとしているのと同じように、何か新しいものを見つけたい。そのような情熱と物事への取り組み、私はそれがやり遂げるために必要だと思います。

Q研究の当時、その発生物質なんかは存在しないのではないかと言われる中で、研究を続けられたということなんですけど、そこへのモチベーションというのはどういったお気持ちだったんですか?

浅島先生

1924年にシュペーマンとマンゴールという人が、“形ができるためには何か物がなければいけない”ということで実験をやってから、40年から50年ぐらい世界中で実験して探していたんです。それがやっても見つからない、そんなものは無いのか。という中で、僕は形というものができるためには最初に引き金は必要であろうと思いました。生物は構造と機能を持つことが必要だと思うんです。その構造とか機能を作るためにはどうしても物質が必要です。そういう思いでやっていたので、あまり迷いは無く続けていました。

Q必ずあるはずだ、と思っていらっしゃいましたか?

浅島先生

あると思いました。ドイツに研究員として行って、自分で手を動かして実験してみたら、何か確実にある、と確信しました。

Q研究していた時期はどういう期間でしたか?

浅島先生

日本に戻って僕が最初に勤めた横浜市立大学では、大学院生も助手もいない、お金も設備もない。何もないない尽くしでした。そんな状況でも研究への熱意は変わらなくて、むしろやってみようと思いました。今振り返ってみると、研究していた14年間というのは非常に良い時期だったと思うんです。自分ですべてのものを作っていき、静かに物事を考えられた。もしこれがうまくいった時にはこういうこともできるんじゃないかとか、いろんなことを考えられる時期でした。自分にとっては非常に恵まれた時期と場所だったと思います。研究というのは、自分で自由に考えて自由に行えるというのが最高なんです。

Qいつもバイタリティにあふれる浅島先生ですが、今後つくばをどのような街にしていきたいとお考えですか?

浅島先生

これからは国際学園都市にしたいですね。多くの若い人たちが集まってきて、いろんな人たちがここで住むことで新しいエネルギーを生み出しながら、より人が集まってくるような場所にしたいです。

Q特に若い研究者の方に向けて、研究者が持つべきスピリットというか研究者に必要な資質というのはどういったことだとお考えですか?

浅島先生

我々自然科学者は本物を見ることでしょうね。それから良い仲間と出会うこと。そして、単に研究室だけで閉じこもるのではなくて、本物の生物に触れることによって今まで感じたことのない、心が震えるような感動を自分で感じることだと思います。そういうものを持てるようなスピリットというのが非常に重要だと思います。


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