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つくばからつなげる、ひろがる 世界的ナノテク拠点TIA-nano 後編

つくばイノベーションアリーナ ナノテクノロジー拠点 
事務局長 岩田 普さん

(2014年2月3日にラヂオつくばで放送した内容をもとにした記事です)

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Q TIA-nanoではナノテクの設備の共用という取り組みを進められていると伺ったんですけど、これはどういった動きになるんでしょうか?

岩田さん

TIA-nanoと呼んでいますけど、なぜナノテクの技術を取り上げたかというと、研究や技術を産業化する上で、いろんな装置が必要になり、大型の施設が必要になりました。それを一企業で負担することは難しくて、皆で共有していくのが実験をする上でも必須になってきました。つくばには今までいろんな蓄積がありましたから、そこにさらに投資して大きな装置軍を揃えました。また、いろんな研究機関がそれぞれ持っている装置を社会に公開して一緒に共有して使っていくようなシステムを整えてきました。これによって全国の大学の人やいろんな企業の人がつくばの装置を使えるようになりました。

Qスーパークリーンルームもその一つになるわけですね?

岩田さん

そうですね。こちらは4500平米のクリーンルームにウエハーの口径、シリコンの口径ですが300ミリという大きな口径のものを入れるような装置がありますが、大型の装置が100台以上入っています。どれも大きなものなので、それを100台揃えているわけですからとても大掛かりな装置です。それを動かすだけでも非常に大変です。そういうものを整えておくことによって、皆さんが簡単にスタートすることができる、そのような環境を整えています。

QTIA-nanoでは人材育成にも力を入れていると伺いましたが、こちらはどのような取り組みが行われていますか?

岩田さん

昨年の夏は筑波大学が中心となって、日本全国のいろんな大学にも声をかけて、7~9月と長い期間にわたってサマースクールを開催しました。その中でナノテク、パワーエレクトロニクス、メームスのようないろいろな研究分野やそれぞれのテーマにおいて一週間ずつ講義をしたりシンポジウムを開いたりしました。

Q昨年の夏のサマースクールのパンフレットを見せていただきましたが、“学生若手研究者集まれ”とあります。これはつくばの学生さん以外でも参加されたのでしょうか?

岩田さん

全国の大学から学生さん参加いただいて、非常にユニークな取組になっています。また、学生さんだけではなくて企業の若手の方も参加していただいて、その学生さんと企業の若手の方も議論していただきました。お互いに非常に刺激になったという風にきいています。

Qそれはおもしろいですね。なかなか学生さんが企業の方と議論を戦わせる機会というのは得られるものではないですね。

岩田さん

そうですね。企業の人間からすると、学生さんに答えていくというのはなかなか面倒くさいという感覚もあります。こういう場で一緒になって朝から晩まで過ごしますと、その中でいろんな意見交換ができます。また、特別にポスターの展示をしていただいて、学生さんに自分の技術・研究を紹介していただくという時間も設けました。それに対して企業の方がコメントするような形で交流も図りましたので、普段と違う刺激があったと思います。

Q海外の先生の授業もあったと伺いました。

岩田さん

2週間にわたる授業で、ナノテクで有名な先生を毎年数名ずつお呼びしてしっかり授業を行っていただきました。大学の授業の形というのは、日本と欧米と大分違いますので先生に来ていただいてそれを垣間見るというのは非常に刺激になると思いますね。授業も英語で行われ、通常宿題もあるので、本当に英語漬けになります。

Qこういった人材育成でTIA-nanoとして期待されているのはどういったことになりますか?

岩田さん

このナノテクというのはいろいろな分野のベースになるような技術ですので、いろいろなことに興味を持っていただく必要があります。いろいろな視野を広げていただくような方をこの育成の中で育成できればと思っています。

Qここからは国際的な面についてもお話を伺いたいと思うんですけど、国内ではナノテクの資材がこれほど集まっている地域はつくば以外にはないと言われています。海外に目を向けますと、つくば市が昨年11月に姉妹都市提携を結んだフランスのグルノーブル市は、ミナテックというナノテク研究拠点がある街として知られています。海外にはこういったTIA-nanoやミナテックというような拠点は他にもあるのでしょうか?

岩田さん

ナノテクはどうしても大型の装置が必要になりますので、世界の中でいくつかの拠点に集約されています。その一つがアメリカではニューヨーク州のアルバニーです。こちらはニューヨーク州立大学アルバニー校の中にナノテクのセンターができています。IBMを中心とする活動ですが、こちらが米国の中心になります。ヨーロッパでは先ほどのグルノーブルのミナテックの他に、ベルギーのアイメックにも大きなナノテクの拠点があります。この4つが今世界の中で注目をあびているところですね。

Q世界の4大拠点の一つがTIA-nanoというのはつくばとしてはとても誇らしいです。
海外のナノテク拠点と比較した場合に、つくばのTIA-nanoというのはどういったところが特に優れていますか?また課題はありますか?

岩田さん

アルバニーとアイメックというのは特にシリコンの最先端、LSIの加工が中心となって発展してきたところです。それに比べてつくばは国の研究機関がこの30年やっておりますので、個々の素材や材料の技術、個々の研究のベースがしっかりしています。それらの研究を、最先端の製品につなげるところがつくばが弱かったところで、逆に海外の拠点の強いところです。そこをうまく結びつけるということが、我々の狙いです。
具体的には、ある材料を入れることによって、その装置軍がだめになってしまうという恐れがある場合があります。装置軍を管理する側ではそういうのは入れたくない。でもここでは逆にいろんな材料を入れても大丈夫なようなプロセスというものを新たに作りまして、どんどん入れて新しい材料と従来のものを組み合わせるという形で進めています。

Qつくば発の新しい素材を使ったものがこれからどんどんできていく可能性が期待できますね。

岩田さん

つくばはもともとナノテクの材料に強かったところですから、せっかく先行していた過去があるわけで、その蓄積を改めて活かしていきたいと思います。

QTIA-nanoには先ほどもお話を伺いましたが、企業もたくさんはいっていますからそういった強みと企業の産業力が合わさってどんどん新しい素材、製品ができていくのが楽しみですね。

岩田さん

ぜひここからでた素材が、事業となってそして製品となって皆様の手元に届くようになっていきたいと思います。

Qそして国際的な取り組みについていろいろお話をうかがいましたが、今後TIA-nanoはどのような展開を見据えていますでしょうか?

岩田さん

この4年間ほど活動してきたわけですけど、その中で着実な研究成果がでてきました。これを少しでも早く製品に結び付けたいわけです。具体的に言いますと、つくばで発見されたナノテクの代表的な材料のカーボンナノチューブがようやく量産のめどがついてきました。あと数年すると企業から大量に商品として販売されるそのような段階まできました。いろんな分野に使われるようになると思っています。そのカーボンナノチューブをはじめとするいろんな材料が、製品の形まで仕上がって皆様のところに届くのもそんなに遠い話ではないと思っています。

Q材料ってあらゆるものに使われていますから、材料にそういう大きなイノベーションが起きることで、これからいろんな常識が変わっていくことも多くなりそうですね。

岩田さん

そうですね。話が後になってしまったんですが、もともとナノテクという技術は、周期律表にあるすべての材料をすべて使い切ってしまったので、その材料だけでできない、原子だけでできない新しい機能をナノテクという技術を組み合わせる、それから構造を作ることによって、個々の原子が持っている機能以上のものを造るという趣旨です。まさに新しい材料をこれから作っていくというのがナノテクのスタート、もともとの大きな狙い、それをようやく実現できるようなフェーズになってきたというところです。


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